ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
迫り来るタイムリミット
あっ、帰ってきた…っ。

「ただいま」

「おかえりなさい。結くんっ」

「…? なんかいい事でもあったのか?」

「え…?」

「顔がいつもと違うから」

「そう、でしょうか…」

おもむろに両手を頬に持ってベタベタと触ってみる。

いつもと一緒だと思うけどなぁ…。

「あぁ、なんかニコニコしてる。すげぇかわいい」

「…かっ! かわいいだなんてそんな…」

結くんといると…

違う意味で心臓がもたないよ…。

それから私は今日しあわせ園に行った事を話した。

しあわせ園の事を結くんに話すのははじめてで。私にとって大切な場所なんだ、って事。そして子供達の事も、泉さんの事も話した。

「だからちょっと嬉しそうな顔してんだな」

腑に落ちたようにそう言う結くん。

「…っ」

そう言われれば確かに…、今日しあわせ園に行った事で心にあったモヤモヤが晴れて少しスッキリはしている。自分じゃ分からないけど、それが結くんが言う通り、顔に出てしまっているのはそうなのかもしれない。

「大切な場所なんだな」

「はい、大切な場所です…っ」

​────しあわせ園から帰る時。みんな、「また来てね」って言ってくれた。

また、近いうち行こう。
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