それでもいいの君が好き
「うん…るとくんありがとう」

そんなもやもやした気持ちを抱えたままで返事をするから声に迷いが出てしまった。


それをどうとったのか

「るあちゃんどうかした?なんか元気なさそうだけど」

るとくんが心配そうな声でそう聞いてくれる。


「う、ううんなんでもないよ!全然元気、大丈夫!」

慌てて否定するけど所々で言葉につまってしまう。


「女の子の大丈夫は大丈夫じゃないときでも言うんでしょ?話してみてよ、るあちゃん」

うながされる。


なんでるあのことお金としか見てないのにそんな優しいこと言うんだろ。


違うって分かってるのに期待しそうになっちゃうよ。


「えーとね、るとくんがるあのこといちばんとか大事とか言うの何でなのかなって思って」

当たり障りの無い言葉を選んでみたけどどうやって返されるか分からないから怖いな...。


「あぁそういうこと?」

拍子抜けするほどにあっけらかんとした口調。

そういうことってどういうことなの?


「そんなのるあちゃんが好きだからに決まってるでしょ?」

えっ?


「なんで…!るとくんるあのことお金としてしか見てないよね?」

なんでいっちゃったんだろ。

「るとくんにとってるあってATMとおんなじでしょ!?」

そう思うのに次から次へと口をついてでる言葉は止まらなくて。


めんどくさいこと言ってるのはるあも分かってる。

でもなんでそんな期待させること言うの?


「ATMなんてそんなひどいこと思ってないよ」

心外だなぁなんてるとくんが笑う。

「るあちゃんのこと“ちゃんと”好きだよ、るあちゃんはお金じゃないから」

ちゃんと…か。

その言葉だけでも結構分かっちゃうんだけどな。


あぁ、でも、

「…ならよかった」

「安心した?」

ほんとは安心なんてできてない。


だけど、

「うん」

嘘なの分かってるけど、

『るあちゃんが好き』

その言葉ひとつでATM扱いされててもいいって思っちゃったの。

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