潮風がシャボンに惚れたら
「俺ぁもう、宿無し家族無しだ。それでもミミーと一緒が良い!改めて、一緒にいてくれねえか?」

 その言葉でミミーは悟る。

 彼は自分の意志でここに残ったのだと。
 自分と、共に生きるために……

「ありがとう!!私もう、海に消えたりしなくて良いのね……ハレカゼのおかげで、泡にならずに済んだんだもの!」

 ミミーの目からは大粒の涙が零れ落ちる。
 彼はまた、太陽のような明るい笑顔でミミーを抱き締めた。

「お前を死なせるかよ!!もう海水になんか入るなっ!ずっと一緒だ!!本当にお前は、温けえ……!」


 海賊船は遥か彼方を目指し海を行く。
 二人は手を取り合い、共に生きる未来に向かった。

 ……これで、地上に上がり孤独だった元人魚と、好いた唯一の彼女と生きることを選んだ元海賊の、小さなお話はこれで終わり。
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