LIKE A INFERNO
プロローグ
ここは……人の心を震わす舞台
汗をびしょびしょにかいてお腹を震わせ叫ぶ。
『ねぇっ!まだ、叫べるよね〜っ?』
照明の光も観客の声援もステージに充満する空気も。
あらゆるもの全てが燃えているように熱い。
熱くて熱くて、声を出せば出すほど肺が焼けそうになってくるのにそれでも歌いたくて。叫びたくて。
皆に私たちの全てを、最高点を見てほしくて。
頬を伝って落ちる汗が照明に反射してキラリと宝石のように光る。
本当に魔法のような世界。
歌は人に魔法をかける。
人の心を熱くさせる魔法
感動させる魔法
人を勇気づける魔法
人を惹き込む魔法
……そこは、私にとって唯一の場所だった。
でも……才能のない私は、逃げたんだ。