わたしのせいしゅんものがたり
3
家に帰っていつも通り大桃とラインをした。
『今日は入部届けを出しに行ったよ』
『そっか、俺も明日出しに行くよ』
『そうなんだね』
そこで梨沙は言葉に詰まった。
『…大桃くんはさ、好きな人いる?』
『突然どうしたの!?』
『や、何となく気になって』
『気になっている人はすぐ近くにいるけど』
ドキッ。気になっている人がすぐ近くにいる、ってそれって私のこと!?
『小峰さんは?好きな人いるの?』
『…いるよ』
『この学校の1年生の中で?』
『うん』
『誰?』
『…大桃くん』
ついに私は告白してしまった。
『私は大桃くんのことが好きだよ』
『マジで!?嬉しい!』
大桃は喜んだ。
『大桃くんの気になっている人って』
『小峰さんのことだよ。俺も小峰さんが好き』
ということは、両想いってことだ。
『ねえ、明日の放課後、学校の近くのファミリーマートの駐車場に来てくれない?ラインじゃなくて直接告白の言葉が聞きたい』
『うん、わかった。行くよ』

4
そして4月19日の放課後。
「大桃くん!」
「小峰さん!」
学校の近くのファミリーマートの駐車場に行った。
「本当に俺のこと好きなの?」
「うん。大桃くんのことが好き」
「俺も好きだよ。だから恋人になってくれる?」
「はい!」
「今日からよろしくね、梨沙」
「わ!名前で呼んでくれた!」
「俺のことも涼太って呼んで」
「…涼太」
いつも、ツインテールというだけで、ももち、と呼ばれているけれど、本当は梨沙と呼んでほしかった。
恋人。4月19日。今日から2人は恋人になった。
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