学園の王子様は、私だけのお世話係!?
1. 私のお世話係
桜の花びらがひらひらと舞い散る、4月上旬。
高校2年生になって、数日が経ったある日。
「ねえ。先日の実力テストの結果が貼りだされてるよ」
「ほんと!? 見に行かなきゃ!」
廊下を歩いていた私の後ろからそんな声が聞こえ、女子数人が廊下を駆けていく。
私が通う学校では、テストの成績上位者20人の名前が、廊下の掲示板に貼りだされるのだけど……。
「わあ。今回も、京極くんが1位だって」
「すごーい。さっすが王子!」
成績表が貼られている掲示板の前は人だかりができていて、掲示板を見た女の子がキャーキャー言っている。
そんな彼女たちを横目に、私も掲示板を見上げる。
【1位 京極蒼生】
すごいなあ、京極くん。また1位だなんて。
入試もトップだったし、定期試験でも1年の頃からずっと学年1位をキープしていて。
その上、彼はイケメンで大財閥の御曹司でもある。
ちなみに、私・宮崎絃葉の成績は10位だった。
私が通っている宝生学園は日本有数の進学校で、財閥や大企業社長のご息女も通うようないわゆるお金持ち学校。
私は将来のために必死で勉強して、一般入試を勝ち抜いた。
少しでも良い大学に入りたくて、私なりに日々勉強を頑張っている。
「あっ、噂をすれば蒼生くんだよ!」
隣の女の子の声につられて後ろを振り返ると、廊下の向こうから京極くんが歩いてきた。
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