学園の王子様は、私だけのお世話係!?

1. 私のお世話係



桜の花びらがひらひらと舞い散る、4月上旬。

高校2年生になって、数日が経ったある日。


「ねえ。先日の実力テストの結果が貼りだされてるよ」

「ほんと!? 見に行かなきゃ!」


廊下を歩いていた私の後ろからそんな声が聞こえ、女子数人が廊下を駆けていく。


私が通う学校では、テストの成績上位者20人の名前が、廊下の掲示板に貼りだされるのだけど……。


「わあ。今回も、京極(きょうごく)くんが1位だって」

「すごーい。さっすが王子!」


成績表が貼られている掲示板の前は人だかりができていて、掲示板を見た女の子がキャーキャー言っている。

そんな彼女たちを横目に、私も掲示板を見上げる。


【1位 京極蒼生(あおい)


すごいなあ、京極くん。また1位だなんて。

入試もトップだったし、定期試験でも1年の頃からずっと学年1位をキープしていて。

その上、彼はイケメンで大財閥の御曹司でもある。


ちなみに、私・宮崎(みやざき)絃葉(いとは)の成績は10位だった。


私が通っている宝生(ほうしょう)学園は日本有数の進学校で、財閥や大企業社長のご息女も通うようないわゆるお金持ち学校。

私は将来のために必死で勉強して、一般入試を勝ち抜いた。

少しでも良い大学に入りたくて、私なりに日々勉強を頑張っている。


「あっ、噂をすれば蒼生くんだよ!」


隣の女の子の声につられて後ろを振り返ると、廊下の向こうから京極くんが歩いてきた。
< 1 / 160 >

この作品をシェア

pagetop