学園の王子様は、私だけのお世話係!?
11. 好きな子〜蒼生side〜
俺、京極蒼生には好きな子がいる。
その子は、宮崎絃葉ちゃん。
俺が絃葉ちゃんのことが気になるようになったのは、今から約1年前のこと。
* * *
「京極くん、おはよう!」
高校に入学して間もない頃。
朝、送迎の車から降りた瞬間、俺は女子たちに一瞬で囲まれた。
俺の右、左、前、後ろ。
どこを見ても、女子だらけ。
「蒼生くん、今日も朝からかっこいい〜」
「ははっ。どうもありがとう」
せっかく自分のことを褒めてくれているのだからと、一応俺は笑顔を貼りつけてお礼を言う。
京極財閥の御曹司というのは、女子からすると魅力的なのだろうか?
小学生の頃から、俺の周りにはいつもこんな調子で女子が集まってくる。
俺が歩けば後ろをついてこられ、勝手に写真を撮られたりもする。
高校では一部の女子からなぜか『王子』と呼ばれ、アイドルでもないのにキャーキャー言われる。
昼休みや放課後には、毎日のように女子に呼び出されては、好きだと告白されて。
最初の頃は、純粋に嬉しかったけど。
そういうことが続いていたからか、次第に鬱陶しいと思うようになっていき……。
最近の俺は、女子が少し苦手になりつつあった。