学園の王子様は、私だけのお世話係!?
「良かったら、この席どうぞ」
俺の目の前の席に座っていた女の子が、さっき電車に乗り込んできた杖をついたおばあさんに席を譲っていた。
「あらまあ、お嬢さんありがとうねぇ」
「いっ、いえ」
俺はそんな彼女のことを偉いな、親切な人だなと思った。
席を譲った女の子が、俺の隣に立つ。
よく見ると、その女の子は俺と同じ高校の制服を着ていて。
胸の辺りまであるストレートの黒髪はサラサラで、目がくりっとしていて。
背がちっちゃくて、可愛いなと思った。
こんな子、同じ高校にいたっけ?
──パチッ。
……あ。
俺がしばらくじっと見ていたからか、ふとこちらを向いた彼女と目が合ってしまった。