学園の王子様は、私だけのお世話係!?


京極家主催のパーティーの日、俺の片思いを揺るがす出来事があった。


『ほら、あおくんも一緒に来てっ!』


俺の両親に挨拶したいという姫華に連れ出された俺が、少しして絃葉ちゃんと一緒にいたテーブルに戻ってくると、そこに彼女の姿はなかった。


絃葉ちゃん、まだ右腕がちゃんと治っていないのに。ひとりでどこに行ったんだよ……!


焦った俺は会場中を探しまわり、バルコニーでようやく絃葉ちゃんを見つけたが……。


そこでの光景を目にした俺は、鈍器で殴られたような衝撃を覚え、言葉を失った。


だって、バルコニーで絃葉ちゃんが萩原と抱き合っていたのだから。


「えっ。絃葉ちゃんと、萩原……嘘だろ……」


目の前で起きていることが、夢だと思いたくて。

俺は自分の目を何度か擦ってみるも、やはりそれは現実だった。


萩原だけでなく、絃葉ちゃんの左手もちゃんと彼の背に回されている。


「……っ」


俺は、震える指先を無理やり拳で抑えこむ。


今、バルコニーで二人が抱き合ってるってことは……。絃葉ちゃんは、萩原のことが好きなのか……?
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