学園の王子様は、私だけのお世話係!?
お世話係……。
「あの、それはさっき断ったはずだけど?」
「それじゃあ、俺の気が済まない。それに、俺が絃葉ちゃんの役に立ちたいんだ」
そう言ってくれるのは、有難いけど……。
「ダメ……かな?」
京極くんが眉を八の字にして、こてんと首を傾ける。
「それとも、俺が絃葉ちゃんのそばにいたら迷惑?」
「う……」
さっきまで、『宮崎さん』呼びだったのに。
いつの間にか、呼び方が『絃葉ちゃん』に変わってて。
トイプードルみたいな、きゅるんとした目をして言われたら……やばい。
「いえ。迷惑ってことは……ない、です」
「良かった。それじゃあ、決まりだね。君の右腕が治るまでは、俺が絃葉ちゃん専属のお世話係だから。これからよろしく」
「よ、よろしくお願いします」
こうして、京極くんにお世話をしてもらうことになった私だけど。
みんなの憧れの存在である学園の王子様が、お世話係だなんて。
嬉しい反面、これからの学校生活、先が思いやられるよ……。