学園の王子様は、私だけのお世話係!?


昼休みが終わり、数学の授業中。


「……であるから、ここはこうなる」


私は上の空で、先生の説明も聞かずにボーッとしてしまっていた。


そういえば、昨日の放課後。


姫華さんが校門のところに立っていて、蒼生くんと二人で一緒に車で帰っていくのがたまたま見えた。


それを見て、蒼生くんと一緒にいられる姫華さんが羨ましくて。


笑顔で話す二人の仲睦まじい様子を目の当たりにして、昨日は一段と胸が苦しくなったっけ。


「……ざき!」

「……」

「おい、宮崎!!」

「……っ、はい!」


名前を呼ばれてようやく我に返ると、数学の先生が厳しい顔つきでこちらを見ていた。


「宮崎、問1の答えは?」

「え? ええっと……」


まずい。ボーッとしていたせいで、先生の話を全然聞いていなかった。


そもそも問1って、どれだっけ。


指名されて席から立ち上がったものの、答えが全く分からない。


「どうしたー? さっきの俺の説明をちゃんと聞いていたなら、すぐに分かるはずだぞー?」


先生とクラスメイトの視線を一身に浴び、私は緊張で頭の中が真っ白になる。


ど、どうしよう……。


焦りと不安で、私が表情をこわばらせたときだった。
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