学園の王子様は、私だけのお世話係!?


「……3X」


隣の席の圭人が、小さな声で言った。


「絃葉、問1の答えは3Xだ」


圭人が口元を手で隠しながら、再び先生に聞こえないくらいの小声で話す。


「えっと……答えは3Xです」

「うん、正解だ。それじゃあ、次の問題にいくぞ」


先生の視線が、私から教科書へと移る。


圭人……私のことを助けてくれたんだ。


「ありがとう、圭人」


私がお礼を告げると、圭人はニコッと微笑んでくれた。


そして、数学の授業後の休み時間。


「圭人!」


授業が終わってすぐに私は、隣の席の圭人に声をかけた。


「あの、さっきは本当にありがとう。お陰で助かったよ」

「いや。あれくらい全然良いけど……絃葉、授業中はボーッとすんなよ。先生の話は、やっぱりちゃんと聞かないと」

「ご、ごめん……」


ほんと、圭人の言うとおりだ。


いくら失恋したからって、いつまでもそれを引きずって、授業もちゃんと受けないとか良くない。


「てか、この間の京極家のパーティーからお前なんか変だぞ?」
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