学園の王子様は、私だけのお世話係!?

13. 幼なじみの想い



事故から約2ヶ月が経過した、6月上旬。


学校が終わった私は、病院に来ていた。


「宮崎さん。今日でギプスは卒業ですね」


経過が順調とのことで、私の右腕のギプスが予定よりも1週間ほど早く外れた。


「先生、ありがとうございます」

「ただし、ギプスが外れたと言っても決して無理はしないでくださいね」

「はい」


診察を終えて、受付でお会計を済ませた私は、病院から家までの道を歩く。


「ああ、右手がギプスで固定されていないのって、やっぱりいいなあ」


私はリハビリがてら、右腕をオレンジ色に染まる空へと向かって軽く伸ばしてみる。


「あ……痛たた。動かしたら、まだ少し腕が痛い」


ギプスがとれたからといって、無理は禁物だって先生も言ってたし。気をつけなくちゃ。


だけど……リハビリを兼ねて少しずつ、いつも通りに生活して良いって先生に言われたから。


左手しか使えない生活からようやく解放されたのだと思うと、自然と足取りも軽くなる。


陽莉ちゃんを助けて事故に遭うまでは、両手を何不自由なく使えることは当たり前だと思っていたけれど。


そんな当たり前だと思っていたことが、本当はとても有難いことだったんだ。


両手が使える幸せを、実感する私。
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