学園の王子様は、私だけのお世話係!?


数日後の放課後。


私は圭人と一緒に、最寄り駅から家へと向かって歩いていた。


「明日、いよいよ体育祭だな」

「そうだね」


体育祭まであと3日だと思っていたら、もう前日なんだもん。時が経つのは早い。


「明日、晴れるといいね」


今は6月上旬で、もうすぐ梅雨入りするだろうって、今朝のテレビの天気予報で言ってたから。


「そうだな。晴れるといいよな……」


あれ? 圭人、いつもよりも声が少し掠れているというか……なんだか元気がない?


私がそう思ったそのとき、圭人の足がピタッと止まった。


「……圭人?」

「あのさ、絃葉」


私を見つめる真剣な瞳に、ドキッとする。


「明日の体育祭の短距離走で、もし俺が1位になったら……絃葉に伝えたいことがある」

「私に、伝えたいこと?」

「ああ。だから……明日の短距離走、良かったら俺のことを応援してくれねぇかな?」


私が圭人のことを応援?


「いいよ。圭人はクラスメイトで幼なじみだから。明日、一生懸命応援するね!」

「サンキュ。俺、絃葉に応援してもらえたら、すげぇ頑張れそうだよ」


そんなふうに言うなんて、圭人ってば大袈裟だなぁ。


よほど短距離走で、1位になりたいのかな?
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