学園の王子様は、私だけのお世話係!?
そして、男子の短距離走がスタートした。
何組かが走るのを見届けたあと、次はいよいよ圭人の番。
圭人は、一番内側の1レーンだ。ちなみに短距離走は、100m走ることになっている。
「位置について、よーい……」
──パーン!
ピストルの合図で、男子7人が一斉にスタート。
小学生の頃も足が速かった圭人は、開始早々、他の走者をグッと引き離す。
そのまま圭人が独走かと思いきや、後ろからひとりの男子が少しずつ追いあげてくる。
圭人……!
圭人が後ろから男子に抜かれそうになり、私は内心ヒヤッとする。
「圭人ーっ! 頑張ってーーっ!!」
私はできる限りの大きな声を出し、圭人を応援する。
私の声が届いたのか、圭人はそこからさらに加速する。
そして──。
片腕を高く上げた圭人が、満面の笑みでゴールテープを切った。
やった! 圭人が1位だ……!
──『俺、絶対1位になってみせるから』
先ほど私に話していたとおり、圭人は短距離走で見事1位となった。
すごい、すごいよ圭人。まさか、本当に1位をとっちゃうなんて。
有言実行してみせた幼なじみは、すごくかっこよくて。太陽の下、キラキラと輝いて見えた。