学園の王子様は、私だけのお世話係!?


借り人競争も順調に進んでいき、次はいよいよ自分の番。

私は、ドキドキしながらスタートラインに立つ。


「位置について、よーい……」


──パーン!!


私は自分のレーンを走り、手前に落ちている白い紙を拾って広げる。


「……えっ」


書かれたお題を目にした瞬間、私は動きが止まった。


まさか、こんなお題が出るなんて……。


私が拾った紙に書かれていたお題は【好きな人】


「どうしたのでしょうか。赤組の女子が動きません」


放送席から進行役の人の声が聞こえてきて、私はハッとする。


いけない。赤組って、私のことだよね!? はっ、早く行かないと……!


私と一緒にスタートした子たちはみんな、お題の人を探しに行ったようで、周りにはもう誰もいなかった。


ここで【好きな人】っていうお題が出たってことは、やはり自分の気持ちに素直になるチャンスなのかもしれない。
< 149 / 160 >

この作品をシェア

pagetop