学園の王子様は、私だけのお世話係!?
借り人競争も順調に進んでいき、次はいよいよ自分の番。
私は、ドキドキしながらスタートラインに立つ。
「位置について、よーい……」
──パーン!!
私は自分のレーンを走り、手前に落ちている白い紙を拾って広げる。
「……えっ」
書かれたお題を目にした瞬間、私は動きが止まった。
まさか、こんなお題が出るなんて……。
私が拾った紙に書かれていたお題は【好きな人】
「どうしたのでしょうか。赤組の女子が動きません」
放送席から進行役の人の声が聞こえてきて、私はハッとする。
いけない。赤組って、私のことだよね!? はっ、早く行かないと……!
私と一緒にスタートした子たちはみんな、お題の人を探しに行ったようで、周りにはもう誰もいなかった。
ここで【好きな人】っていうお題が出たってことは、やはり自分の気持ちに素直になるチャンスなのかもしれない。