学園の王子様は、私だけのお世話係!?
「はい、どうぞ」
京極くんは、教科書やペンケースの汚れを落とすように、手で数回撫でてから渡してくれた。
「ごめんね。ありがとう」
京極くんから教科書を受け取ろうと、私は手を伸ばすが……。
なぜかひょいっと、私の頭よりも高いところまで教科書を上げられてしまった。
「あ、あの、京極くん。教科書……」
「やっぱり、これは返してあげない」
え!?
「ちょっと、やだ。返して?」
「ダーメ。返さない」
返さないって! さっきのお昼ご飯のときといい、京極くんってもしかして意外とイジワルなの?!
私は、教科書を取り返そうと一生懸命背伸びして、左手をめいっぱい伸ばすけれど。
身長155cmの私が、身長180cm超えの京極くんには全くかなわない。