学園の王子様は、私だけのお世話係!?


それから数日後の放課後。

私は学校から駅へと向かって、大通りを歩いていた。

家に帰ったら、今日の授業の復習をしないと。今日の数学の応用問題、解き方がイマイチ分からなかったから。


「……あれ?」


ふと横断歩道を見ると、6歳くらいの小さな女の子がひとり、何やら口ずさみながらゆっくりとした足どりで歩いている。


その子は、サラサラの栗色のロングヘアに黒目がちの大きな瞳をしていて。
まるでお人形さんみたいに可愛い女の子に、私は何となく惹かれてしまった。


すると、青だった歩行者用の信号がパッパッと点滅し始める。


信号はもう赤になるけど、女の子はまだ渡りきれていない。


あんな小さな子が一人で大丈夫かな? と、私が不安になっていると。


横断歩道を渡りきる直前、女の子は何かを落としたらしく、来た道を走って戻ったそのとき……。


プップーーー!!


角を曲がってきた大型トラックが、女の子目がけて突っ込んでくる。


「あ、危ないっ!」


私は、とっさに横断歩道に飛び出した。頭で考えるよりも先に、体が動いていた。


私は女の子を突き飛ばすと、その子の代わりに車の前に飛び出す。


そして強い衝撃に襲われた私の意識は、そこで途切れてしまった。
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