学園の王子様は、私だけのお世話係!?
「今、お父さんもいないし。どうしましょう……」
お母さんが困ったように、眉根を下げる。
我が家は今、お父さんが出張中でいない。
そのため、お母さんは腕を骨折している私を、たったひとり家に置いていくのは心配だという。
かと言って、今こんな状態の私が一緒に病院について行っても、迷惑になるだけだろうし。
学校から山のように出された課題も、まだ残っているから……。
「お母さん。おばあちゃんのことが心配だから、本当は私も一緒に行きたいけど……私がいたら邪魔になるだろうから、私はお留守番してるね」
「絃葉……」
「私のことは気にしないで。今はゴールデンウィーク中で、学校も明後日まで休みだから大丈夫だよ」
休日なら、着替えやご飯にどれだけ時間がかかっても問題はないし。ひとりでも何とかなるはず!
「でも、今は何かと物騒だし。夜、家に高校生の娘をひとりにするのは、やっぱり心配だわ……」
「……あの。もし良ければ、今夜は僕がここに泊まりましょうか?」
「え?」
突然の京極くんの申し出に、私とお母さんは目を丸くする。