学園の王子様は、私だけのお世話係!?


『姫華』って、どう考えても女の人の名前だよね?


私は、心臓の辺りがザワザワと落ち着かなくなる。


姫華さんって誰なんだろう。もしかして……京極くんの彼女?


それとも、電話の相手の姫華さんが……京極くんがこの間話してた、好きな子なのかな?


姫華さんが誰なのか、すごく気になるけど……こんなこと、京極くんに面と向かって聞けないし。


ていうか私、女の人の名前を聞いただけで京極くんの彼女かどうかって、気にするのは変だよ。


「ごめんね、絃葉ちゃん。髪を乾かしてる途中で……」


しばらくして、電話を終えた京極くんが戻ってきた。


「ううん。もうほとんど乾いてるから、大丈夫だよ」


声が少し震えて、視線が落ちてしまう。


「えっと、そうだ。私、お茶でもいれるね。お風呂上がりで、喉渇いたから」


何となく気まずくて。ソファから慌てて立ち上がった私は、うっかり足を滑らせてそのまま転びそうになる。
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