学園の王子様は、私だけのお世話係!?
「えっ、私の隣ですか!?」
「ああ。宮崎が萩原と知り合いだったのなら、ちょうど良かったよ。萩原のこと、よろしく頼むな」
先生にニコッと微笑まれる。
私の席は、廊下側の一番後ろの席。
隣の席はずっと空席だったんだけど、そこに圭人が座るらしい。
左斜め前に座る和花ちゃんがこちらを振り返り、羨ましそうな目で見てくる。
幼なじみとはいえ、ただ今骨折中の私が転校生の圭人の何か役に立てるのかどうかは分からないけど。
先生によろしくと言われたから、仕方ない。
一旦教壇のほうへと戻っていた圭人が、ニコニコしながら再びこちらに歩いてくる。
そして、隣へやって来ると。
「改めて。これからよろしくな、絃葉」
圭人が笑顔で、私に手を差し出してきた。
「うん。よろしくね」
左手で彼の手をとる私。
久しぶりに握った圭人の手は熱くて、小学生の頃よりもうんと大きくてがっしりとしていた。