学園の王子様は、私だけのお世話係!?
学食に着くと、注文待ちの行列ができていた。
来るのが少し遅かったからか、テーブル席も全て埋まっている。
「あ、あの。あたしたち、ちょうど食べ終わったので。良かったら、ここどうぞ」
私たちの姿を見ると、4人掛けの席に座っていた女の子たちが自分のトレーを持ってサッと立ち上がる。
「ありがとう」
爽やかにお礼を言って、京極くんはそこに座った。
「キャーッ!」
「王子と喋っちゃったー」
その子たちは歓声をあげながら、学食を去っていく。
何だか、申し訳ないな。だけど、せっかく譲ってくれたんだから。有難く座らせてもらおう。
「絃葉ちゃんは、ここね」
京極くんが当然のように、彼の左隣の椅子をトントンと手で叩く。
「何だよ、京極のヤツ。絃葉が自分の隣だって、勝手に決めて。俺も、絃葉の隣がいいのに」
隣に立つ圭人が、少し苛立ったような声を出す。