学園の王子様は、私だけのお世話係!?
9. 不意打ちのキス
数日後の朝。この日もいつものように、京極くんが車で我が家まで迎えに来てくれた。
「おはようございます、宮崎さん」
「おはようございます、深澤さん。今日もどうぞよろしくお願いします」
京極くんの執事の深澤さんと挨拶を交わすと、私は慣れた足取りで車の後部座席へと乗り込む。
「おはよう、京極くん」
「おはよう、絃葉ちゃん」
京極くんの隣に腰掛けてすぐ、こちらへと伸びてきた指に髪を優しくすかれた。
「京極くん?」
「絃葉ちゃん、寝癖ついてたよ」
「えっ、やだ。恥ずかしい……」
私の頬が、一瞬で熱くなる。
「前髪が跳ねてる絃葉ちゃんも、新鮮で可愛かったけど」
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
耳元に吹きかけられた息がくすぐったくて、ぴくりと肩が揺れる。
「絃葉ちゃんの寝癖なら、いくらでも直してあげるよ」
京極くんが耳元で喋るたびに息がかかって……って、この人絶対に楽しんでる!
だって京極くん、私を見ながら笑ってるんだもん。
「もう! 京極くんの意地悪!」
「絃葉ちゃん限定でね」
……う。京極くんにそんなことを言われたら、また胸がドキッとしちゃうよ……。