学園の王子様は、私だけのお世話係!?
10. 京極家のパーティー
「絃葉ちゃん。これ、良かったら」
ある日の学校の帰り道。
いつものように蒼生くんの家のリムジンに揺られていると、隣に座る蒼生くんが私に細長い封筒を渡してきた。
「これは?」
「来週末、都内のホテルで京極家主催のパーティーがあるんだけど。これは、その招待状」
「パ、パーティー!?」
庶民の私にはあまり耳慣れない言葉に、つい大きな声が出てしまった。
「うん。といっても、父の会社……財閥関係の集まりなんだけど」
「そんなところに、私がお邪魔してもいいの!?」
「もちろん。両親が絃葉ちゃんに、陽莉を助けてもらったお礼を、改めてちゃんとしたいって言っててね」
「そんな! お礼なんていいのに……」
蒼生くんには、学校で身の回りのお世話をしてもらって。
執事の深澤さんにも、こうして毎日送り迎えをしてもらって。
ゴールデンウィークには蒼生くんの家で、ケーキもご馳走になったし。
もう十分すぎるくらい、京極家の方たちには色々してもらっているというのに。