隣の席の地味男子 実はイケメン総長で毎日がドキドキです!
昼休み。
莉愛と屋上に来た私は、いっしょにお弁当を食べていた。
話題はもちろん、私が昨日誰といっしょにいたかって話。
「別れたばっかなのに、ソッコーでいい人見つけたの?」
なんかやだなー、その言い方。
それに別れたことを大声で言わないでほしいよね。別にいいけど。
実際、私が先日彼氏にフラれたことは周知の事実であり、なぜかクラスメイトの女子もほとんどが知っている。別にいいけど。
問題は、彼氏と別れてすぐにもう他の男と遊んでる。みたいな風に誤解されていることだ。
「ね、それで、誰? 誰? 教えてよ、お願い」
「もうわかったって」
莉愛のしつこさに負けて、私はとうとうその名前を口にした。
「天使くんだよ」
「え、誰? あ、松岡?」
それは隣のクラスの、前に莉愛がいい感じといっていた男の子の名前だ。
「違うって、あまつか。私の隣の席の」
コーヒー牛乳を飲みながら、瞬きを繰り返す莉愛。
「え、隣の席? 誰だっけ? さっきいた?」
やっぱりそういう反応なんだ。私もそうだったからわかるけどさ。
放課後。
弓道場に行き、部活の準備をしていた。
袴に着替えている最中、スマホに莉愛からメッセージが来た。
『さっき、あまさかくんの顔チラ見した。素材はけっこういい感じじゃん』
素材って……。てか名前間違ってるし……。
私は莉愛にこう返信した。
『あまつかくんね。てか大丈夫? 変な目で見られてないよね? あんまジロジロ見ると私が何か話したって思われるじゃん』
『だいじょぶ! たぶん てゆうか今までなんでチェックしてなかったのか不思議なくらいイケてるかも 推したいくらい』
『待て、あんた彼氏いるだろ』
『推しと彼氏と友達は、別なのだよ。橙子くん』
莉愛の名言っぽい言い方に、私は妙に感心してしまった。