隣の席の地味男子 実はイケメン総長で毎日がドキドキです!

 部活が終わった後、碧斗くんにラインすると速攻で帰ってきた。

 しばらくやりとりを続けながら、途中でアイスが食べたくてコンビニに立ち寄った。

 そして、ちょうどコンビニから出ようとした時、碧斗くんから着信。


「もしもし、碧斗くん? どうしたの?」

『いきなりごめん。ちょっと橙子の声聞きたくて』

「えっ、えっ? もう、なにー? いきなり」

『練習お疲れ様』

「うん、ありがと、どうしたの?」

『そっか。やっぱり心配でさ。ちょっと会えないかなって』


 うそ、私も会いたいと思ってた。


 私が少しの間返事を焦らしていると、焦ったような声が飛んでくる。


『ちょっと、ちょっとだけだか──』

「いいよ。今から駅向かうからそこでね」


 かわいいなと思いつつ、かぶせるようにして返事をした。


 そして通話を切ると、ちょうど横に車が止まった。

 窓がゆっくりと開いて、コワモテの男性が顔を出す。


「警察の者なんだけど、ちょっといいかな?」


 男は最寄りの警察署の名前を出し、少年課の刑事を名乗った。


 私は内心焦りながらも、足を止める。


 なんだろ、昨日の沢村さんの件で、聞き込みかな?

 それとも、一人で歩いてるから注意でもされるのかな。


 その男は助手席から降りて私に近づいた。体が大きくて間近で見るとかなり威圧感がある。

 その時、後部座席から別の男が降りてきて、二人の男はいきなり私の体を羽交い絞めにしてきた。

 持っていた弓を取られて、地面に投げ捨てられる。


「えっ、なっ!」


 悲鳴を上げる間もなく、私は後部座席に押し込まれた。

 すごい勢いで走り出す車。

 男二人に体を押さえつけられて私は抵抗することができない。

 そして、ふいに何かの薬品をかがされて、私の意識は闇へと堕ちていった……。
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