このドクターに恋してる
憧れの人
大好きな医療ドラマのエンディングをうっとりと見つめ、高校生の私は興奮した。
「よかったー、かっこよかったー! ああいうかっこいいお医者さんに出逢いたいなー。白衣着ているお医者さんって、どうしてあんなにもかっこいいんだろう」
兄が私の肩を叩き、首を左右に振った。
「あれはドラマだからかっこよく見えるんだ。現実、あそこまでかっこいい医者はいないぞ」
「わかってるよー。でもさ、日本中探せば一人や二人くらい、いるかもしれないじゃん」
「どこをどう探すつもりなんだか」
呆れる兄が言うことはもっともなのだが、少しくらい夢を見てもいいじゃないかと私は反論した。
いつか白衣を着る医師を眺められる場所で仕事をしたいとひそかに願っていた。
そして、年月を重ねて二十五歳になった私岩見陽菜は現在、横浜市内の浅葉総合病院に勤務している。
太陽は出ているが、吹く風が冷たい一月最後の日、私は興奮していた。
「希子さん! イケメン先生が二人揃っていますよ。やばいです!」
私は二歳先輩の西田希子さんの腕を掴んでいた。希子さんは私の手をやんわりと振りほどき、私の口辺りを指差す。
「陽菜、よだれ出てるわよ」
「ギャッ、ほんとですか」
「よかったー、かっこよかったー! ああいうかっこいいお医者さんに出逢いたいなー。白衣着ているお医者さんって、どうしてあんなにもかっこいいんだろう」
兄が私の肩を叩き、首を左右に振った。
「あれはドラマだからかっこよく見えるんだ。現実、あそこまでかっこいい医者はいないぞ」
「わかってるよー。でもさ、日本中探せば一人や二人くらい、いるかもしれないじゃん」
「どこをどう探すつもりなんだか」
呆れる兄が言うことはもっともなのだが、少しくらい夢を見てもいいじゃないかと私は反論した。
いつか白衣を着る医師を眺められる場所で仕事をしたいとひそかに願っていた。
そして、年月を重ねて二十五歳になった私岩見陽菜は現在、横浜市内の浅葉総合病院に勤務している。
太陽は出ているが、吹く風が冷たい一月最後の日、私は興奮していた。
「希子さん! イケメン先生が二人揃っていますよ。やばいです!」
私は二歳先輩の西田希子さんの腕を掴んでいた。希子さんは私の手をやんわりと振りほどき、私の口辺りを指差す。
「陽菜、よだれ出てるわよ」
「ギャッ、ほんとですか」
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