このドクターに恋してる
「ごめん、ごめん。先生、間違えちゃったね。陽菜ちゃんだったね」
「うん、ひなちゃんだよ。まちがえちゃだめだよ」
「気を付けるね。陽菜ちゃんもごめんね」

 不意に宇部先生が私に謝るから、戸惑った。しかも、名前呼びされるなんて、びっくりしすぎて鼓動が速くなる。
 私は顔の前で両手を振った。

「そんな! 謝らないでください」
「美結ちゃんと仲良しなんですね。美結ちゃん、また明日来るからね」

 宇部先生は美結に手を振って、退室した。
 私は熱くなった頬を押さえる。憧れの先生と話ができた上、陽菜ちゃんと名前まで呼んでもらえた。
 今夜は嬉しすぎて、眠れないかもしれない。

「あの先生、ほんとかっこいいよね。モテそうだし」

 しみじみを言う美久さんに私は力説した。

「そうなの! かっこいいから、ものすごくモテるの!」
「陽菜ちゃんも好きなの?」
「あんなかっこいい人、嫌いな人はいないよー。私は好きというより、ファンだけどね」
「ふふっ、陽菜ちゃんってば、おもしろい」

 笑い合う私と美久さんを美結が不思議そうに見る。

「ファンって、なあに?」

 
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