このドクターに恋してる
「ありがとうござい……んっ」

 突然されたキスにビックリして、私の目が丸くなった。動きだした食洗機に背を預け、ずるずると腰を落ちていく。
 床に座り込んだ私の手に彼は自分の指を絡ませ、角度を変えながらキスを繰り返した。
 舌が触れあい、体の熱が上昇していった。

「陽菜」

 満足した様子の郁巳さんは先に立ち、私を引っ張りあげる。
 濡れている彼の唇が視界に入り、思わず顔を俯かせた。なんだか照れてしまって、直視できない。

「陽菜?」

 不思議そうにする声が耳に届いて、そっと顔を上げた。
 目が合うと「どうしたの?」と聞かれる。

「なんか、その、恥ずかしくなっちゃって」
「こんなことで恥ずかしがるなんて、陽菜はかわいいな」

 郁巳さんは顔を緩ませて、私の頬を撫でた。

「だって、急にキスするから……」
「近くにいたからしたくなった。嫌ではなかったよね?」

 私が嫌がっているようには感じなかったのだろう。
 ちょっと意地悪な聞き方だと思い、私は拗ねた。

「嫌なわけないって、わかっているくせに」
「だよね? 気持ちよさそうだったものね」
「っつ!」
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