このドクターに恋してる
「お風呂。今、お湯を入れているよ。一緒に入る?」
「ええっ! いえいえ、一緒には無理です。いきなりお腹見せられませんから」
「心配するところはお腹だけ?」
「……いえ、あちこち肉がついているので心配な部分は多いです」
「あちこちって、陽菜は細いよ」
「そんなことないです。見えない部分がやばいんです」

 私は二の腕とか太ももをさすった。
 自分でここが太いと主張しているみたいになってしまったが。
 郁巳さんが落ち着きのない動きをする私をふわっと抱きしめる。

「ほんと、かわいい。見ていて飽きないよ。ずっと見ていたい。お風呂に入るところも」
「ちょっ、ダメです。あちこち念入りに洗うつもりなので……あ、そんな汚いわけじゃないですけど」
「汚いと思っていないよ。わかった、俺が先に入るね」
「はい、どうぞ。あ……」

 郁巳さんは自分の腕の中から解放した私に軽く口づけをして、バスルームに行った。
 私は胸に手を当て、深呼吸をする。
 さっきからドキドキが止まらなくて困る……これから郁巳さんとそういうことをするのよね?
 朝起きたときは今日がこんなにもドキドキする日になるとは思ってもいなかった。
 展開が早すぎて、気持ちの整理ができない。
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