このドクターに恋してる
 大丈夫だろうか、私……粗相しないでいられるかな。
 片付けを終えた私はソファで郁巳さんを待った。
 彼がバスルームから出た音やドライヤーと使う音が聞こえてくる。
 やっぱり、緊張する……。

「陽菜、どうぞ。寝室で待っているね」
「はい。お風呂、お借りします」

 石けんの香りのする郁巳さんとすれ違い、バスルームへ急いだ。
 急いだわりには念入りに洗い、しっかりと髪の毛を乾かしたので遅くなった。

 郁巳さん、待ちくたびれていないかな……。
 寝室のドアは半開きで、ベッドサイドの照明だけが灯されていた。私はそっと顔を入れて、そろりと足を忍ばせる。
 後ろ手でドアを閉めて、ベッドへ近寄った。郁巳さんは目を閉じていて、私の入室に気付いていないようだ。
 もしかして、寝てしまった?
 寝顔も整っているなと思い、見下ろしているとふいに彼の目が開いた。

「わっ……すみません!」

 盗み見ていたようになってしまったことを詫びる私の腕を彼が掴む。
 グイッと引っ張られ、私は彼の胸に倒れ込んだ。

「キャッ……あの、郁巳さん」
「陽菜」
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