このドクターに恋してる
「うべせんせー、いくみせんせー」

 宇部先生は持っていた紙袋を郁巳先生に託し、美結を抱き上げる。

「美結ちゃん、こんにちは。今日はご招待、ありがとうね-」 
「うん! カード、ある?」
「あるよ。郁巳先生が持っているよ」

 美結と宇部先生は郁巳先生のほうを向いた。
 郁巳先生はコートのポケットからカードを取り出して美結に見せる。それは招待状で、最後に『みゆ』と美結が書いた名前が書かれていた。美結がパーティーに先生を呼びたいと言って、美久さんと作ったカードだ。

 兄と美久さんが先生たちの前に並んで立つ。

「お忙しい中、来ていただき、ありがとうございます」
「いいえ。お招きいただけて嬉しいです、ありがとうございます」

 宇部先生がお礼を言い、郁巳先生は軽く会釈した。

 美結以外の人の座る場所は特に決められていなかったが、美結が「パパはここ、ママはここ」とみんなの席を決めていった。

「せんせーは、ひなちゃんのとなりにすわってね」

 私はなぜか宇部先生と郁巳先生の間に座る形になってしまう。あまり居心地がよくないような……。
 誰もが別の場所に座りたくても、本日主役の美結が決めたことには逆らえなかった。
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