このドクターに恋してる
希子さんは可能性はゼロではないと言うけれど。限りなくゼロに近いと思う。もし私が二人のどちらかと付き合えたら、それは奇跡だろう。
あり得ない、あり得ない、考えるだけ無駄だ。私は苦笑して、ないないと手を振り、希子さんと洗面室に向かった。
鏡を見ながら歯磨きをする私の横で、先に歯磨きを終えていた希子さんが鏡越しに私の顔を見つめる。希子さんはリップを持っていた。
「陽菜はこんなにもかわいいのに、謙虚よね」
歯磨きをしていた私は「ふぇ?」と変な声を漏らす。
希子さんはありがたいことに私をかわいがってくれている。だから、何かというとかわいいと言ってくれるのだが、これは親の欲目みたいなものであって、先輩の欲目に違いない。
私は口をすすいでから、ハンカチで口もとを押さえる。
「私、謙虚ではないです。この病院には、看護師さんとかきれいな方がたくさんいますからね。私なんて相手にされないのは、当たり前なんです。実際務めて三年が経ちますけど、挨拶さえもしたことないんですよ」
「えー、そうなの? 私だって、すれ違ったときにおはようございますとかお疲れさまですとかしたことあるのに」
あり得ない、あり得ない、考えるだけ無駄だ。私は苦笑して、ないないと手を振り、希子さんと洗面室に向かった。
鏡を見ながら歯磨きをする私の横で、先に歯磨きを終えていた希子さんが鏡越しに私の顔を見つめる。希子さんはリップを持っていた。
「陽菜はこんなにもかわいいのに、謙虚よね」
歯磨きをしていた私は「ふぇ?」と変な声を漏らす。
希子さんはありがたいことに私をかわいがってくれている。だから、何かというとかわいいと言ってくれるのだが、これは親の欲目みたいなものであって、先輩の欲目に違いない。
私は口をすすいでから、ハンカチで口もとを押さえる。
「私、謙虚ではないです。この病院には、看護師さんとかきれいな方がたくさんいますからね。私なんて相手にされないのは、当たり前なんです。実際務めて三年が経ちますけど、挨拶さえもしたことないんですよ」
「えー、そうなの? 私だって、すれ違ったときにおはようございますとかお疲れさまですとかしたことあるのに」