このドクターに恋してる
「もしかして、告白されていました?」
「えっ、告白?」

 宇部先生が答えるよりも先に私が反応してしまう。希子さんが呆れた目で私の肩を叩く。

「川田さん、悲しそうな顔していたじゃない?」
「そうですか? よく見えなかったので、どんな顔しているかまでは……」
「まあ、ササッと行っちゃったから見えないのは当然かもね。で、実際はどうだったんですか?」

 宇部先生は「まいったな」と首の後ろを掻いた。

「個人情報だからねー、うん、言えないんだよね」
「さすが先生、口が堅いですね。じゃあ、これ以上聞きません。陽菜、先に帰るね。お疲れ様」

 希子さんは私に手を振り、駐車場へと歩いて行く。私は宇部先生に近寄った。

「えっと、私になにかご用が?」
「あー、いや、川田さんとは何でもないんだ」
「はい? 別に先生と川田さんがなにかあったとしても、私には関係ないですけど」

 なぜ言い訳みたいに言うのか、わからなかった。
 それに、個人情報だから詮索しないでほしいようなことも言っていたのに謎だ。

「陽菜ちゃんには誤解されたくなくて」
「えっ?」

 まるで宇部先生が私に好意を抱いているような口ぶりだ。私の勘違いかもしれないが、そんなふうに言われたら、ドキッとしてしまう。
 
  
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