このドクターに恋してる
 翌朝、目覚めた私は枕元に置いていたスマホを操作する。宇部先生からの返信は午前三時に届いていた。当直だったため、返信が遅れたと謝っていた、やっと休憩になり、返すことができたと。
 宇部先生は土日に仕事の日もあるからと、今月の空いている日を伝えてきていた。私は予定を確認して、都合の良い日を返す。

 やはりすぐに返信は来なく、私が出勤中にようやく返ってきた。私はこれから仕事だが、宇部先生は自宅に帰ったところだった。
 食事する日は金曜日の夜に決まり、場所は宇部先生がどこかを予約してくれると言うのでお任せした。
 『仕事頑張って』というメッセージにペコリとお辞儀したキャラクターのスタンプを返して、やり取りを終える。
 
 数時間の食事とはいえ、デートだ。本当にデートできるとは、何度考えても信じられない。
 大丈夫かな、私……せめて宇部先生につり合うような服装をしよう。
 まずは外見からだと思い、何を着ようか、服を新調するべきかと考えた。スマホでデート服を検索していると……

 突然前から「わあ!」と大きな声が聞こえてきた。何事かと思う間もなく、衝突音と共に車体が大きく揺れた。
 咄嗟に前の席を掴もうとしたが間に合わず、体が前に傾いた。
< 46 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop