このドクターに恋してる
「ほんと、こぶくらいで済んでよかったー」
「うん。お母さんも気をつけてね」
「そうね、いつ事故に遭うかはわからないものね。あー、美結も心配だわ」
「そうだねー」

 これからどんどん美結の行動範囲は広くなっていくし、一人で出歩くことも増える。
 成長を嬉しく思う反面、心配事は増えていく。不安を煽ってはいけないが、危険なことはちゃんと大人が教えなければならない。
 まだ私は結婚していないけど、美結を見ていると子育ては大変だな思う。
 かわいがるだけではいけなく、時には厳しくしなければならない。

 母はコーヒーを飲み終えて、私の自転車でカフェに戻っていった。
 自分の自転車でここに来ようとしたらしいが、兄から動揺しているときに乗ったら危ないと止められたそうだ。私の無事を確認できて安心したから、心に余裕を持って帰れると言っていた。
 私はくれぐれも気をつけるようにと言って、母を見送る。

 母が帰ってから、私はソファに深く座った。披露を感じ、目を閉じると睡魔が襲ってきた。寝るならベッドでと思うのだが、立つ気力がない。
 気付けば、ソファで小一時間眠っていた。
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