このドクターに恋してる
 目が覚めて、空腹を感じる。朝ご飯を食べたあとは、水分しか胃に入れていなかった。
 大きく伸びをして、額に触れる。腫れ具合は眠る前から変わっていない。そんな早くに治るはずがないか……。
 簡単に作ったチャーハンを食べて、スマホを手に取った。

 未読のメッセージがたまっていた。ほとんどが私の体調を心配する内容だった。
 兄、美久さん、希子さんに返信して、宇部先生のメッセージに目を通す。同じように心配していて、最後にレストランのURLが貼り付けられていた。
 早々とみなとみらいの海が見えるレストランを予約してくれたらしい。

 レストランのサイトを確認し、ありがとうございますを返信した。スマホをテーブルに置いた途端、電話が掛かってきた。掛けてきたのは、もちろん宇部先生だ。
 もしかしたら、私の返信を待っていた?
 なんだか緊張してしまい、胸に手を当てて応答した。
  
「はい、岩見です」 
『ごめんね。声が聞きたかったから』

 声が聞きたいとは、なんて甘いセリフだろう。そんなことを言われたら、顔が緩んでしまう。
 私は明るい声で返した。
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