このドクターに恋してる
「いいえ、私もお話したかったので大丈夫です」
『なかなか既読にならなかったから心配したんだけど、調子はどう?』
「すみません。ちょっと疲れてしまって、寝ていました。でも、寝たおかげで気持ちが穏やかになりました。おでこは変わらなく腫れていますけど」
『そっか、寝ていたんだね。うん、ゆっくり休めてよかった。腫れはまだ引かないだろうね。徐々によくなるから、不安にならなくて平気だよ』

 自分でも少しずつ治っていくと思っているけど、医師に言われてより安心できた。
 優しい宇部先生の声は、心を癒やしてくれる。

「そうですよね。ありがとうございます」
『うん、お大事にね。じゃ、また』
「はい、また……」

 もう少し話していたかったが、気遣ってくれる優しさをむげにできなかった。
 私は耳に残る宇部先生の声の余韻に浸りながら、デートに着ていく服を考える。
 きっと当日まで憧れの人とのデートを何度も想像して、浮かれるだろう。
 楽しみだな。
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