このドクターに恋してる
 ペンケーキをきれいに平らげて、ぬるくなったカフェラテを飲み、ホッとひと息つく。

「満足そうだね」

 郁巳先生はずっと私を見ていたようだった。彼からの視線を感じてはいたけれど、気付かないふりをしたのだ。
 
「すみません、夢中になって食べていました」
「いや、美味しそうに食べる様子は見ていて、飽きなかったよ。もぐもぐする姿はかわいかったし」
「えっ、そんな……かわいくはないと……思いますけど」

 パンケーキを食べる私がかわいかった?
 食べている姿とはいえ、かわいいと言われるとは想定外だ。
 私は照れくさくなり、顔を俯かせた。郁巳先生が肘をテーブルにつき、私の顔を覗きこんでくる。

「頬が赤くなってるよ」

 自分でも顔が熱くなっているのを感じていた。
 でも、それを人から言われると……熱さが増す……。

「だって、かわいいと言うから」

 私は熱くなった顔を冷まそうとお冷やをごくごくと飲んだ。
 小さく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。

「岩見さんは表情が豊かだよね。だからなのかな、目が離せなくなる」
「え、ええっ、そんな、ずっと見ていられても困ります」
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