このドクターに恋してる
 宇部先生は否定しながら、苦笑した。
 私は微笑んで、手をポンと叩く。

「なるほど。では、五人くらいということですね」
「そうそう……って、まさかここで、今まで付き合った人数を暴露する羽目になるとは思わなかったよ。で、陽菜ちゃん」

 おどけた顔から真剣な顔に変わった宇部先生に呼ばれ、私は「はい」と背筋を伸ばした。
 冗談を言う私に気分を害したかな……。

「陽菜ちゃんにも聞きたいけど、どういうつもりで郁巳についてきたの?」
「あの、それは、郁巳先生が言うのと同じでお話がしたくて」
「どうして、話がしたいの?」
「郁巳先生のことをもっと知りたくなったので……」

 私の声は徐々に小さくなっていく。
 知りたいからと言って、誰にでもついていくような軽い女だと思われていないだろうかと不安になった。
 宇部先生のことも知りたいからと、食事の誘いを受け入れていた。
 まだ宇部先生のことも郁巳先生のこともよく知らないから、知りたいだけなのに……。
 自分の今の気持ちをどう話したら、理解してもらえるのだろうか。
 
「圭介、岩見さんを責めるなよ」

 困惑する私の前に郁巳先生が入り込んできた。
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