このドクターに恋してる
 郁巳先生は私が何を聞いてくるのかと待っていた。

「えっと、あの、答えたくないことだったら答えなくてもいいですよ」
「別に、秘密にしたいことはない」
「ほんとですか?」
「うん、岩見さんにはどんなことでも話すよ」
「私には、ですか?」
「俺も岩見さんのことを知りたいから、岩見さんにも俺のことを知ってほしい」
「えっ……」

 つい最近、宇部先生にも同じことを言われた。
 お互いを知るために食事デートをする予定になっている。
 宇部先生は私に好意を抱いているような口ぶりだった。私は憧れの人から誘われたからと浮かれて、お誘いを快諾した。
 そのときと同じように考えたら……郁巳先生も私を?
 まさか……。
 宇部先生とは誘い方が違うし……イケメンドクター二人から好意を寄せられるなんて、あり得ない。
 うん、勘違いだ。
 私は一瞬でも浮かんだ自惚れを打ち消すように、首を横に振った。
 そんな私を郁巳先生は怪訝そうに見る。

「どうした?」
「いえ、別に、ただ宇部先生も同じようなことを言っていたなと思い出して……」
「何でまた圭介のことを話すの? 今、岩見さんと一緒にいるのは俺だよね?」
「あ、はい。すみません!」
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