貧乏男子、お断り!〜玉の輿に乗りたい私は何故か、金無し貧乏イケメンに気に入られてます〜
「西根さん、料理上手ですよね」

 ご飯を食べ終わり、二人で洗い物をしていると、三嶋さんがそんなことを言い出した。

「え? いや、そんな事は全然!」
「いや、本当に上手いと思う。カレーもマカロニサラダも美味しかったから」
「それは、どうもありがとうございます」

 上手いと褒めてもらえて悪い気はしないけど、カレーもマカロニサラダも言ってしまえば簡単なものだし、余程変なことをしなければ誰でも美味しく作れると思う。

 それに何より、彼が貧乏人であることが分かってからというもの、私の中で彼との付き合い方を考えなきゃ、これ以上深入りする前に部屋から出なきゃとそればかりが頭を駆け巡っていた。

「それじゃあ、私はそろそろ戻りますね」

 片付けを済ませ、先程使った鍋やらタッパーを手にした私は自分の部屋へ戻ろうとしていると、

「あの、コンビニですけどデザートを買ってあるので、良かったら一緒に食べませんか?」

 ご飯のお礼なのかわざわざデザートを用意しておいてくれたらしい三嶋さんに声を掛けられた私は一瞬迷ったものの、

「……すみません、わざわざ気を使ってもらって。折角なので、いただきます」

 甘い物は好きだし、わざわざ用意してくれていたのならばとお誘いを受けた私は再びテーブルの前に腰を下ろした。

 だけど、この何気ない選択が私の運命を大きく変えることになるなんて、この時は思いもしなかった。

「どれが好きか分からなかったので色々買って来たんですけど、遠慮せずに、どれでも好きな物を食べてください」

 冷蔵庫から沢山のデザートを抱えてやってきた三嶋さん。

 ケーキにシュークリーム、プリンやミニクレープにお団子、ゼリーやエクレアなどなど、コンビニに売っているデザートを手当り次第に買ってきたらしく、どれも大好きな私は選べずに迷ってしまう。

「すごい贅沢な光景で迷っちゃいますけど……これと、これにします!」

 そんな中で私が選んだのはショートケーキとプリン。

 数ある中でも特に好きな二つを手に取った。
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