貧乏男子、お断り!〜玉の輿に乗りたい私は何故か、金無し貧乏イケメンに気に入られてます〜
 だけど、ただ準備をしてもらうのは申し訳無かった私は三嶋さんと一緒に準備をした。

 ご飯用のタッパーにそれぞれ一食分になるよう入れていた白米を温め、食器棚に並べられていた食器を借りてお皿に移し、カレーの入った鍋を火にかけてくれた三嶋さんが温めたカレーをご飯の入ったお皿に盛っていく。

 それと、作り置きで作ったマカロニサラダを小さめのお皿にそれぞれ盛ってローテーブルに並べて、私たちは向かい合わせに腰を下ろすと、手を合わせ、二人で「いただきます」と口にしながらそれぞれ食べ始めた。

 カレーと白米をスプーンで掬い、嬉しそうな表情で口にした三嶋さん。

 私も同じタイミングでカレーを食べたのだけど、彼の口に合うかどうか、それが気になってチラリと盗み見ていると、

「美味い!」

 どうやら口に合ったようで「美味い」と言いながら再びスプーンで掬って口に運んでいく。

 それに安堵した私は「お口に合って良かったです」と言って笑った。

 勿論、入っている具材もじゃがいも、玉ねぎ、人参、お肉とシンプルだし、カレーのルーを使っているからオリジナリティーも無い、至って普通のカレーだから失敗が無いのは分かっていたけど、それでも、美味しいと言いながら食べて貰えるとやっぱり嬉しいし、お裾分けして良かったなと思えた。

 食べ始めてから暫く、私たちよりも先にご飯を食べていたシロが食べ終わり、三嶋さんの膝の上に乗って寛ぎ始めた。

「シロちゃん、三嶋さんのことが大好きなんですね」
「どうかな? コイツ甘えたがりみたいで、よく膝の上に乗ってくるんですよ」
「そうなんですね、可愛いなぁ」

 シロのお陰で会話も弾み、少しずつ打ち解けていく。

 そんな中で分かったことと言えば、三嶋さんが私より三つ年上の二十六歳だということと、飲食店のアルバイトを掛け持ちしているということ。

 それを聞いた瞬間、やっぱり三嶋さんはお金の無い貧乏イケメンなんだと確信した私は、あくまでもお隣さん、これ以上深入りはしないようにしようと心に決めた。
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