後ろだけ見てて
三葵って本名を知らない時に、「こいつはさんちゃん」って紹介されてたから、その名残。



私は1番家から近かったなんの変哲もない共学の高校に通う1年生、岡本璃奈(りな)。吹奏楽部。

私たちはひょんなことで偶然、ほんとに偶然であって、そんな偶然の出会いから恋をしました。


2月某日、私は親友の(まい)にいつものように、当てもなく「会ってから決めよう」のテンションで集合をかけた。約束の時間は12時で。


今は、時計が1時を指す10分前。

「はあー、まだあと10分ある、」



約束の時間の15分前に舞から「ごめんーーー!美容院長引いてまだ終わんなそうで、1時に駅着く電車で向かうー!!」とラインがきた。

「嘘でしょ。もうバス乗ってるし。」


私の家から駅にバスで向かおうとするとだいたい20分くらいかかる。


「戻る時間でもないし、いやでも1時間1人ってきつ!」


うちらの地元は中途半端な田舎。駅の近くにぽつぽつとファストフード店があるだけで、あとは観光客向けのバカ高カフェや土産屋しかないクソ立地。
ここで金欠jkが1人で1時間時間を潰すっていうのはかなりきつい…
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