プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 舌もお腹も大満足の食事を終え、店を出た二人が次に向かうのは、約束した通り柊仁の家だ。

 電車で移動し、柊仁の案内で彼の家まで向かう。いよいよ玄関の前までやって来れば、さすがに緊張が戻った。

 ドアを開けて「どうぞ」と促す柊仁に、莉都花はごくりと唾を飲んでから、「お邪魔します」と中へ足を踏み入れた。

 柊仁が住んでいるのは比較的新しいと思われるアパートで、間取りは1Rだ。

 家の中が汚いというようなことを柊仁は匂わせていたが、実際に入ってみるとそんなことはない。ちゃんときれいに片づけられている。

「なんだきれいじゃん」
「心外だなー。そんなに汚いと思ってたのかよ」
「自分で言ってたくせに」

 莉都花のその言葉に、柊仁はくすりと笑うだけで特に反応はしなかった。

「ここ座ってて」

 小さなローテーブルの前へ促される。

 大人しく指定された位置に座り、さりげなく家の中を見回していると、柊仁が飲み物を持って戻ってきた。
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