プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「……もしかして、私のこと知ってたのは、大輝から聞いてたっていうよりも、そのときのことで?」
「まあ、そうだな。さすがに一度見せられただけの写真で覚えてるわけない。ただすごくきれいな子だなって、それなりに印象には残ってたから、それで気づけたんだとは思うけどな」

 きれいな子だなんて言われると照れくさくて、莉都花は小さく「そう」と返す。そんな莉都花に柊仁はさらに照れるようなことを言ってくる。

「でも、好きな人を思って泣いてる姿は、きれいっていうよりはかわいいって感じだったかな。けなげで、純粋で、かわいい子だなって思った」
「お酒飲んで泣いてる女なんて、かわいくないでしょ……」
「かわいかったよ。でも、痛々しくもあって、こっちまで胸が痛くなりそうだった」
「なんか、ごめん……」

 本当にひどい醜態をさらしていたのだろうなと思うと申し訳なくてたまらない。しゅんとする莉都花を見て、柊仁はくすりと笑っている。

「そんなに謝るなって。かわいい女の子を慰められて、役得だったし」

 ニッと笑いながら言う柊仁に、莉都花は小さく「バカ」と返す。

 柊仁はそれを少しも気にすることなく話を続ける。
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