プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「俺さ、あの公園で約束したんだよ。もう誰とも恋できないって言うりっかちゃんに、だったら俺が終わらない恋を見つけてやろうかって。またあのバーに来てくれたら、終わらない恋を教えてあげるって約束したんだ」

 莉都花は大きく目を見開く。その約束は、あの日のやりとりに似ていないだろうか。

 莉都花にとって初めてのそれは、本当に初めてだったのだろうか。

 莉都花が覚えていないだけで、本当は二回目のやりとりだったのではないかと、そんな気がしてくる。

「嘘……じゃあ、あの賭けは……」

 二度目だったのかと表情で問いかければ、柊仁はただにこっと笑って、それには答えなかった。

「ま、今のが本当の話って証拠はどこにもないんだけどな。ただ、それは間違いなくりっかちゃんのものだよ」

 それが答えだと言われている気がした。

 一回目がどういうやりとりだったのかはわからない。でも、柊仁が最初から莉都花を救おうとしてくれていたことは間違いないだろう。

 表面上は軽薄そうに見せておいて、実際はそうではない。もっと深く考えて行動していると、これまでの柊仁との時間で莉都花は理解している。

 いったいどれほど莉都花のために行動してくれていたのかと考えると、もう莉都花の胸はいっぱいになる。柊仁への想いが溢れてやまない。

 ああ、もう早くこの想いを伝えて、柊仁ともっと密な関係になりたい。

 莉都花は柊仁を真っ直ぐに見つめながら、先ほどは言えなかった言葉を今度こそ口にする。
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