プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 柊仁の顔が近づいてきて、もう一度それを予感する。ほんの少しだけ、期待と違う展開になるのではないかと考えてしまったが、今度は期待通りにそれが訪れた。

 唇に温かくて柔らかいものが触れている。触れ合っているそこを媒介にして、互いの想いが流れゆく。熱く濃い想いが伝わり合って、ジンと体が痺れた。

 一度離れた唇は、息をする間もなく再び重なり、いつの間にやら二人はしっかりと抱き合って、何度も口づけ合っていた。

 唇が離れた少しの合間に、莉都花の体はベッドへと横たえられる。

 莉都花を見つめる柊仁の瞳には熱が宿っていて、これからさらに先へ進もうとしているのだとわかった。

「もう止まれないから。覚悟して」
「とっくにしてる」

 迷わずにそう言いきれば、柊仁はとても嬉しそうに、楽しそうに笑う。

「ははっ、やっぱりりっかちゃんは最高だな。莉都花、愛してるよ」

 求めていた温もりに包まれる。直接肌で柊仁の熱を感じ、莉都花の感情はどんどん高まる。

 あなたが好きでたまらないのだと伝えるように、何度も柊仁を見つめ、愛の言葉をこぼし、柊仁と深く深く求め合った。

 隅から隅まで柊仁の色で染めてほしいと、何もかもをさらけ出して、莉都花はその体力が尽きるまで、柊仁に抱かれていた。

 二人の想いは今間違いなく一つに重なり、その関係はついに本物の恋人へと変貌を遂げていた。
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