プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「りっかちゃんとの出会いは特別だった。りっかちゃんの話がどうしても他人事とは思えなかったんだよ。この子も恋で苦しんだんだなって思ったら、どうしようもなく助けてやりたくなった。裏切りのない恋を与えてやりたくなった。でも、本当は自分がそれを求めてたんだろうな」
「柊仁……」

 柊仁も深く傷つき、苦しんでいたのだとわかって、胸が痛む。莉都花は裏切られたのとは少し違うから、柊仁の痛みは莉都花のそれよりも遥かに強かっただろう。

 それなのに、この人はずっと莉都花を慰め、莉都花が前を向けるよう助けてくれていたのだ。柊仁の優しさに、強く強く胸が締めつけられる。

 思わずきゅっと柊仁の服の袖を握りしめれば、優しく肩を抱き寄せられた。

「千紗とはよくない別れ方だったから、たぶん変な空気が流れたよな。ごめん。でも、俺が今好きなのは莉都花だから、心配しなくていい。俺の顔見れば、莉都花が好きだってわかるだろ?」

 見つめ合えば、優しく甘い空気が流れてくる。莉都花への想いを強く送ってくれているのがわかる。莉都花は何度も首を縦に振って「うん」と頷いた。

「柊仁、つらいこと言わせてごめんね。全部話してくれてありがとう」
「うん。本当に安心していいからな」

 もう一度小さく頷く。そして、安心感を得られるように、彼にもそれを与えられるように柊仁の背に腕を回して抱きしめる。

 自分も決して裏切ることはないと、強い気持ちを込めて抱きしめた。
< 126 / 154 >

この作品をシェア

pagetop