プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 自宅に帰り着いた莉都花は、柊仁と向かい合って座り、すぐに話を切り出す。

「柊仁、大事な話がある」
「うん? 何?」

 莉都花を心配してくれているとわかる表情に、胸が締めつけられる。このまま永遠に彼を自分に縛りつける言葉を言ってしまいたくもなるが、その思考はすぐに捨て去る。

「私、聞いちゃったの。柊仁と哲也さんの話」
「話? 何の話?」
「……千紗ちゃんに再会して、わだかまりがなくなって、想いを再認識したって。ごめんね、苦しい思いさせて。私のために我慢させてごめん」
「は? いや、何言ってんの?」

 驚きの表情を浮かべる柊仁に、もう隠さなくていい、我慢はしなくていいと、莉都花が気づいた事実を突きつける。

「千紗ちゃんへの気持ち強くなってるんでしょ? 私を好きな気持ちも嘘じゃないって思ってる。あのときの言葉も本当だって思ってる。でも、時間が経つと共に、千紗ちゃんへの気持ちが膨らんでるんだよね……?」

 柊仁は大きく目を見開き、信じられないという表情で莉都花を見ている。

 きっとその想いがバレるとは思っていなかったのだろう。実際、今日のことがあるまで莉都花は気づかなかった。そのくらい柊仁は上手く隠していた。

 たぶん莉都花への愛も本物だったから、気づかなかったのだ。彼の心の奥底にある想いに気づけなかった。

 だが、気づいたのなら、もうそれをするしかない。彼の幸せを願うしかない。

 でも、その前にやることがある。やらねばならないことがある。過去の恋愛ではできなかったけれど、柊仁に救ってもらった今はそれができる。

 莉都花は瞳に涙を浮かべながら、己の胸の内をさらけ出し始めた。
< 134 / 154 >

この作品をシェア

pagetop